プロフィール

野生動物の世界観に触れて

それまで週の半分以上、仕事で家を空け、がむしゃらに働いてきました。それまでの私は、周りが自分に期待する役割をこなして生きてきました。でもそんな毎日に疑問符が付いたんです。
そのきっかけは、東日本大震災です。

毎日やるべきことで過ぎていく。何のために働いているのか? これから先も同じ毎日を送りたいのか? そして定年まで後数年を残して会社を辞めました。でも周りからの期待がなくなった途端に自分が何をしたいのか、私は何を望んでいるのか、それがよくわからなかったんです。

退職後は色々なところに行き、色々な人たちに会ってきました。

模索していたときに立ち寄った本屋で、ローレン・マッコールのアニマルコミュニケーションの本に出合いました。それから直接彼女に師事してアニマルコミュニケーションを習得し、動物たちと会話しています。

戸隠移住で二拠点生活

会社を辞めた後からずっと、「自分は何がしたいのか?」を問い続けてきました。そこで自分に問いかけて湧いてきた

自然の中で穏やかに暮らしたい、愛犬と毎日ずっと一緒にいたい、同じ価値観を共有できる仲間の集まる場を作りたいなど、たくさん望みが出てきて、その実現に向けて一つ一つ行動してきました。その中に都会と田舎の両方に拠点を持って生活したいというものもありました。

私は長年埼玉の和光市に住み、東京で仕事をしていました。都会は何でもあります。世界中からモノや情報が集まって、とても刺激的です。日本だけではなく、世界の変化を肌で感じることができるんです。

その「好き」も捨てがたいので、都会と田舎を気軽に愛犬と一緒に移動したかったんですね。以前はペットホテルに預けて出かけることもありましたが、会社員を辞めてからは車に乗せて買い物にも連れていきます。

だから拠点が2軒必要だったんです。都会にも幼馴染や30年来の犬友達のコミュニティもありますし、この選択は良かったと思っています。

なぜ戸隠に移住したのか

以前から二拠点生活をしたいと考えていて、那須高原や伊豆、八ヶ岳などを候補地として訪れていました。戸隠には親戚がいるわけではなく、子供の頃から慣れ親しんだ土地というわけではありません。
それまで夏に何度か遊びに来たことがあるくらいです。

戸隠神社は神話の時代から聖地として知られ、2000年余りの歴史があります。山に籠って悟りを開く修験道の山でした。

日本では台風や地震、津波など自然災害が発生します。日本人は昔から、人間の力が及ばない自然に畏敬の念を抱き、自然のいたるところに神を感じ、山や川、木、岩などに目には見えない貴い何かがあると信じてきました。

戸隠では自然に沿った日本人の暮らしが残っています。今も折々にお祭りや風習、作法など、大切に継承されているところです。戸隠は長野駅から30分とアクセスも良く、全国から観光客が集まり、シーズン中はとても賑やかです。でも私が住んでいる所は、そこから車で10分ほど下った高原にあり、人も車もほとんど見かけません。とても静かです。

山を背にして目の前は畑があり、家の窓からは遠く山並みが見え、昇る朝日から沈む夕陽まで眺めることができます。そして夜空には満点の星。流れ星や天の川を見ることができるんです。

それに、ここには色々な動物がいます。熊や鹿、猪、ウサギ、狐、狸、キジ、猿、蜂、カメムシ、テントウムシなどなど。家の軒下にはシマヘビやアオダイショウがいます。

たまに動物と人間との”事件”もありますが、自然の中でお互い共存しながら隣り合わせに生きています。昔ながらの山里の暮らしが流れています。

ちょうど良い塩梅

以前の仕事は日本のモノづくり技術に関する仕事でした。クライアントのひとつ、東京電力の原子力発電所にも何度か行った事があります。厳重に白い防護服を着て、あのメルトダウンした設備の中まで入りました。とてつもなく大きな設備です。今でも思い出すのは、サッカー場かもっと広い設備の中に不純物のない超純水のプールが真っ青で、とても大きく深く、上から覗くと綺麗だけど怖かったのを覚えています。

精神的・肉体的にもキツイと、人は思考停止になってしまいます。都会は人が多く、たくさんのエネルギーが渦巻いています。

電車の中や街の中では、屋外ディスプレイに広告が絶え間なく流れ、購買意欲を駆り立てます。他人と比べて「まだ○○を持っていない」「もっとスキルや資格を身につけないと」と、足りないものにフォーカスさせて、消費行動に駆り立てます。

それまで建っていた1軒の家の土地に、3軒もの新しい家が建ち、床面積を広げるため3階建てにします。
広い土地にはマンションが立ち並び、どんどん空が狭くなってきました。息苦しさを感じていたころに、2週間アフリカの大自然を旅したんです。

英語ができずに携帯がつながらないと、段々と頭の中の雑音が消えていきました。静けさや暗さ、匂いを肌で感じることができ、自分の中から聞こえる声や感情を感じることができたんです。瞑想と同じですね。それで湧いてきたのが「自然に近い暮らしがしたい」

戸隠にはコンビニも信号もありません。人工的な音がほとんどなく、朝は小鳥のさえずりと水の流れる音で目が覚めます。時間の流れがゆったりと過ぎます。

経済を優先して自然を壊していくのではなく、必要な分を自然からいただく。

ただ、意識的に外の世界に触れようとしないと、何年でも同じ日常が繰り返されます。刺激がないと、変化するのが怖くなり現状維持を続けて行動しなくなります。私は昔の生活に戻ろうと言っているのではありません。IT技術が進歩して、私たちの生活は驚くほど便利になりました。今では無料で海外の人とすぐに連絡がとれます。この技術進歩の恩恵を捨てることはできないし、これを利用してもっと快適な生活を手に入れることができます。

美しい自然を残しつつ、変化に対応しながら本来の自分を取り戻す、サンクチュアリを作りたいという想いから、せいざんを作りました。